続 Omega 3はマイボーム腺に効くか
こんにちは。LIME研究会「涙のあぶら」プロジェクトの福岡です。
前回の有田先生の記事で、紹介のあったオメガ3の続きで、サプリメントではなく食事からの摂取についてお話します。
Relation between dietary essential fatty acid intake and dry eye disease and meibomian gland dysfunction in postmenopausal women.
Ziemanski JF, Wolters LR, Jones-Jordan L, Nichols JJ, Nichols KK.
Am J Ophthalmol. 2018
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29337006
こちらは、322人の閉経後の女性において、ドライアイ、マイボーム腺機能不全と食事中のオメガ3とオメガ 6摂取との関係について調べた観察研究(cross-sectional study)の論文です。
食事からのオメガ 3摂取量、オメガ 6摂取量はドライアイ罹患との関係はありませんでしたが、オメガ 3の摂取量が多い(2.54-11.08g/day)、オメガ 6の摂取量が中等度(11.33-14.56 g/day)だと、MGDの罹患率が低かったとのことです。
この論文では、食事との関係をしらべるために、オメガ 3のサプリメントを飲んでいる方は除外されています。
脂肪酸についておさらいです。
飽和脂肪酸は常温で固体、不飽和脂肪酸は常温で液体です。
不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
多価不飽和脂肪酸のうち、ヒトの体内で合成できないオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸とオメガ6脂肪酸のリノール酸が必須脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸のαリノレン酸からEPAとDHA、オメガ6脂肪酸のリノール酸からγ-リノレン酸、アラキドン酸が合成されます。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準2015年版によると、オメガ3とオメガ6の摂取基準の量は下記のようになっています。
オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)の食事摂取基準
≪男性≫
18~29歳→2.0g/日
30~49歳→2.1g/日
50~69歳→2.4g/日
70歳以上→2.2g/日
≪女性≫
18~29歳→1.6g/日
30~49歳→1.6g/日
50~69歳→2.0g/日
70歳以上→1.9g/日
妊婦・授乳婦→1.8g/日
オメガ6脂肪酸(n-6系脂肪酸)の食事摂取基準
(日本人の食事摂取基準2015年版 厚生労働省)
≪男性≫
18~29歳→11 g/日
30~49歳→10 g/日
50~69歳→10 g/日
70歳以上→8 g/日
≪女性≫
18~29歳→8 g/日
30~49歳→8 g/日
50~69歳→8 g/日
70歳以上→7 g/日
妊婦・授乳婦→9 g/日
オメガ3のα-リノレン酸はエゴマ油や亜麻仁油、EPAやDHAは青魚の油に多く含まれています。
食品データベースによると、たとえば、可食部100 gあたりに含まれるオメガ3の量は、エゴマ油58.31 g、亜麻仁油56.63 g、生のまさば3.04 g、生のまいわし2.10 gです。
オメガ6のリノール酸は、大豆油、コーン油などに多く含まれています。
100 gあたりに含まれるオメガ6の量は、大豆油49.67 g、コーン油51.58 gです。
リノール酸は必須脂肪酸ですが、摂取不足よりは摂取過剰のことのほうが多いので、大豆油やコーン油の代わりにオリーブオイルを使うと、100 gあたりのオメガ6が6.64 gですから、だいぶオメガ6の摂取量が減らせます。
文部科学省の公開している食品データベースhttps://fooddb.mext.go.jp/で検索できますので、気になる食品があれば調べてみてください。
亜麻仁と種(フラックスシード)