活性型ビタミンD3軟膏のMGDへの効果
Arita R, Kawashima M, Ito M, Tsubota K. BMC Ophthalmol. 2017 Jun 7;17(1):84.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28592257
皆さま、こんにちは。有田玲子です。
本日は最近アクセプトされた私たちの論文の内容をご紹介したいと思います。こちらはOnlineでフリーで全文読めますのでご興味もたれたかたはぜひ、全文をご覧ください。
活性型ビタミンD3軟膏はもともと皮膚科用の軟膏で”オキサロール”という商品名でマルホ製薬から販売されているものです。適応は乾癬ですが、ニキビにも効果がある、というお話しを耳にして、”MGDは眼のニキビ”とも言われていることを思い出し、過角化の抑制や慢性炎症の抑制という作用機序を狙ってMGD患者さんのLid marginに1日2回、2か月塗布してもらい様子を観察しました。(もちろん、最初は正常眼に塗布して明らかな副作用が発現していないことを確認しました)そうしますと1か月後ではあまり大きな変化が見られませんでしたが2か月後にはたくさんあったPluggingが劇的に改善し、マイボーム腺領域も有意に増加していました(写真は論文の図を参照してください)。治療終了後、患者さんのひとりは点眼や温罨法の必要なく、快適に毎日を過ごされており、最近は外来にもいらっしゃらなくなりました。毎月、つらい、つらいと顔をしかめて通院されていたのがウソのように効果が出ました。
活性型ビタミンD3軟膏は対症療法でなく、根本的な治療法のひとつになりうる大発見だと思っています。ただ、唯一の難点は皮膚用軟膏だということです。。。大手眼科製薬会社が眼軟膏にして発売してくれないかなーー、と思う今日このごろです。
ではみなさまよい週末を!