LIME研究会

PPARγ Regulates Mouse Meibocyte Differentiation and Lipid Synthesis. Jester JV, Potma E, Brown DJ. Ocul Surf. 2016 Oct;14(4):484-494 

 

私の師匠 Jester先生の論文を紹介します。加齢性のマイボーム腺の萎縮に関与する因子として,Peroxidase proliferative activated receptor γ(PPARγ)に着目して研究をしています。PPARγは糖尿病や動脈硬化の治療ターゲットとなっている核内レセプターのひとつで,糖代謝や脂質代謝だけでなく,抗炎症作用や坑腫瘍作用など様々な機能が報告されているホットな分子だと思います。Jester先生の論文では,マウスのマイボーム腺上皮細胞では加齢に伴いPPARγの発現が低下することが,in vivoin vitroの系を用いて示されています。マーボーム腺上皮細胞における脂質生成にもPPARγが関与する事を同時に示して,加齢性のマイボーム腺の萎縮には,PPARγに関連するシグナル伝達障害が関与している可能性を提唱しています。

Jester先生つながりで…2004年から2006年まで,私はJester先生のラボに留学していました。現在いらっしゃるUniversity of California, IrvineにJester先生が異動すると同時に留学したため,ラボのセッティングから関わる事ができました。当時は角膜実質の仕事だけしていたので,まさかJester先生がマイボーム腺の大家だと言うことを知らずに帰国,LIMEの仕事をするようになってからJester先生のこれまでの業績を知る事になりました…こんな不肖の弟子ですが,ARVOでお会いしたときにはいつもの“Jester節”で辛辣にコメントをくださいます。もちろん,そのお言葉の向こうに温かさも感じます。共著者のBrown先生は,まじめな顔をしてアメリカンジョークしか言わない先生で,あまりの高尚なギャグに全くついていけませんでした…今でもARVOではギャグしか言ってくれない困った先生です。でも,頭脳はとってもクレバーです。

 

2006年当時のJester先生とBrwon先生。UCLA卒のBrown先生にとって,University of South California(USC)の帽子をかぶせられることはかなりつらいことだったようです(Jester先生はUSC卒)。

2005年当時のJester先生(左)とBrwon先生(中央)。UCLA卒のBrown先生にとって,University of South California(USC)の帽子をかぶせられることはかなり辛いことだったようです(Jester先生はUSC卒)。