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DR-1αでわかる水と脂のバランス
涙液は油層と液層からなる。油層と液層のHomeostasisがくずれた状態がドライアイと考えられている。DR-1α®(Kowa, Japan)では油層と液層のバランス(水が足りないか、脂が足りないか)が干渉縞とNIBUT(non-invasive breakup time)の組み合わせにより3つのタイプにわけられることがLIME研究会の研究で明らかになりました(IOVS, 2016)(図1)。
(図1)は左から正常眼、涙液減少型ドライアイ(水が足りないタイプ)、蒸発亢進型ドライアイ(脂が足りないタイプ)です。
その定義は下記のとおりです。
呼称・病態 | 診 断 | 定 義 |
---|---|---|
油層、液層のバランスがよい |
正常眼 (BUT短縮型) |
グレー単色干渉縞 Jupiterサイン認めても NIBUT ≥ 5秒 |
油層 > 液層 |
涙液減少型 | Jupiterサイン NIBUT < 5秒 |
油層 < 液層 |
蒸発亢進型 (MGD) |
グレーで干渉縞を認めない 無機質でさらさら NIBUT < 5秒 |
治療に直結するコンセプト
ドライアイは以下の図(図2)のように分泌減少型ドライアイと蒸発亢進型ドライアイに分類されます。両者は病態も違いますし、治療法も異なります。しかし、患者さんのドライアイ症状からだけではこのどちらのタイプか診断できずに多くの涙液パラメータを総合的に統合して分泌減少型ドライアイか蒸発亢進型ドライアイ、と診断してきました。しかし、DR-1αを用いれば、水が足りないか脂が足りないかを診断するための大きな手助けとなります。
これにより、ドライアイ治療の選択肢のなかから患者さんの状態に即した治療法を迷わず選択することができ、また、その理由を患者さんに動画や静止画を見ていただくことで納得する説明をすることができます。
双方向のCompensation Theoryの証明
以前、私たちLIME研究会の多施設studyでOphthalmology(2015)に掲載されましたCompensation Theoryの証明は、脂が足りないドライアイの場合、水が増加することでHomeostasisを維持する、というOne way Compensationでした。
しかし、やはり、人間なのですからOne Wayのはずがありません!ということで私たちは韓国のSeo先生やChung先生を巻き込んでInternationalに双方向のCompensation Theoryの証明に乗り出しました。そのパラメータとして有用だったのはLipiViewによる油層厚とSchirmer値です。(図3-a,b)
これはDR-1αによるPattern分類ともよく相関します。