LIME多施設study第2弾、温罨法の有用性の比較検討がOcular Surfaceにacceptされました!
まだ一般有料会員の募集やLIME主催講習会の告知をして10日あまりですが、早速に多くの先生方にご登録、お申込みいただいておりまして本当にどうもありがとうございます
順次、ご登録いただきました先生方の施設と会員の先生のお名前をアップしてまいりますので少々お待ちくださいませ。
先生方のご期待に沿えるような充実したHP,最新の情報の発信を心がけてまいりますので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
ところで、LIME研究会温罨法班(有田、森重先生、白川先生)による多施設study
Effects of eyelid warming devices on tear film parameters in normal subjects and patients with meibomian gland dysfunction
がOcular Surfaceにacceptされました
こちらは市販の5種類の温罨法deviceの効果を正常眼において涙液安定性パラメータや眼瞼皮膚、瞼結膜、角膜温度、マイボグラフィーの定量などにより比較検討したものです。今回の論文では特にあずきのチカラ(桐灰化学)の有用性が示されました。また、あずきのチカラをMGDの患者さんに一日二回(一回5分)一か月施行していただいたところ、マイボーム腺領域の改善、涙液パラメータの改善、瞼結膜温度の継続的上昇などが得られました。
この論文では、さらに注意すべき温罨法として蒸しタオルのことにも触れています。蒸しタオルはすぐに大変熱くなり(45度以上)、1分ごとに5度低下し,5分経過すると25度程度まで下がります。床屋さんなどで顔に蒸しタオルを充てられるととても気持ちよいのですが、マイボーム腺の脂を溶かす、という目的では安定した効果を得るのが難しいようです。マイボーム腺の脂の融点は正常眼でも25度から32度ですので、それ以上の温度を一定時間(5分以上)保持することで脂を溶かすという目的を果たすことができます。もしどうしても蒸しタオルをされる場合には、なるべく温度を高く保持する工夫が必要です。(蒸しタオルをラップやビニールで包むなど)ただし、42度以上の蒸しタオルを眼瞼に押しあて続けると Fischer-Schweitzer polygonal reflex (ボーマン膜のしわ)を引き起こしたり、前房水の温度があがることで水晶体への影響や,眼内炎症性疾患や角膜内皮などへの影響も危惧されます。そう考えますとやはり、安全性が担保されている市販品温罨法デバイスを用いて瞼をあたためてもらうことがおすすめだと思います。
ホームケアとして家で患者さんに行っていただく温罨法はリッドハイジーンとともに国際的にも多くの論文があり、その有用性が確認されています。
LIME研究会では今後もMeibo-care(マイボケア)と位置づけ、温罨法とリッドハイジーンの啓蒙に努めてまいりたいと思っています。