アレルギー性結膜炎と食事中の脂質
こんにちは。LIME研究会「涙のあぶら」プロジェクトの福岡です。
2019年4月18~21日に、東京国際フォーラムで行われた日本眼科学会総会で、「平戸度島スタディ(MGD検診):脂質・n-3、n-6系脂肪酸とアレルギー性結膜炎との関係」について発表させていただきました。
秋の臨床眼科学会、年明けの角膜カンファランスに続き、目の病気と食事についての内容です。
近年、アレルギー性疾患が増えているのは、食習慣の変化により、n-6系脂肪酸(オメガ6)摂取量増加とn-3系脂肪酸(オメガ3)の摂取量の減少が関係しているのではないかという仮説があり、様々な研究がなされています。
n-3系脂肪酸としては、α-リノレン酸がエゴマ油や亜麻仁油、EPAやDHAが青魚の油などです。n-6系脂肪酸のリノール酸は、大豆油、コーン油などに多く含まれています。リノール酸はヒトの体内で合成できない必須脂肪酸ですが、摂取不足よりは摂取過剰のことのほうが多いです。
これまで、日本やドイツでアレルギー性鼻炎結膜炎や花粉症と食事との関連について調べた研究が報告されていますが、アレルギー性結膜炎のみと食事との関連について調べた研究はありませんでした。
我々LIME研究会が長崎県の先生方と行った平戸度島スタディの結果の解析では、平戸市度島の成人住民においてn-6系脂肪酸やn-3系脂肪酸の摂取量が多い人と少ない人を比べたときに、アレルギー性結膜炎の有無の割合には差がありませんでした。
食生活が欧米化しているとはいえ、日本人は、欧米人より魚を食べる量が多く、その分多くのn-3系脂肪酸を摂取しています。そのため、今回の結果では差がでなかった可能性があります。
目の病気の予防に役立つことがないか、さらに解析を続けて発信していきたいと思います。