LIME研究会

こんにちは。

LIME研究会 涙のあぶらプロジェクト福岡詩麻です。

 

2019年2月1日に、パシフィコ横浜で行われた日本眼科手術学会総会の“霰粒腫”がテーマの教育セミナーで、LIME研究会から有田先生と私がお話させていただきました。

 

2017年4月のLIME研究会のマイボーム腺講習会でも慶応大学の野田実香先生と“霰粒腫 切って治すか、切らないで治すか”をテーマにディベートさせていただきましたが、今回の手術学会では、野田先生と、埼玉医大・医療センターの小幡博人先生が座長をされ、小幡先生が「霰粒腫の成因と診断」、有田先生が「マイボグラフィで霰粒腫のマイボーム腺を見る!―めいぼグラフィ」、私(福岡)が「霰粒腫 切らない治療」、井手眼科病院の水戸秀哲先生が「霰粒腫の手術治療」について講演、最後に全員で霰粒腫について公開討論をしました。

 

霰粒腫の治療法としては、ご存知のように、温存療法、ステロイド注射、点眼・軟膏、切除術があります。

温存療法は、患者さんご自身にご自宅で行っていただくマイボーム腺のケア、“マイボケア”である温罨法(あたためる)、リッドハイジーン(まぶたの縁をきれいにする)が主になります。霰粒腫ができやすい方、眼瞼炎がある方、デモデックスがいる方の再発予防(Yam, 2014)にも効果が高いことが最近報告され、再評価されています。

ステロイド注射は、治癒率は60-90%で、手術と同程度とされています。瞼結膜側から霰粒腫の中にトリアムシノロンを注入することで、皮膚の脱色素やトリアムシノロンの沈着を予防できるとする論文があります(Goawalla, 2007)。

大きさや場所によっては、霰粒腫が視機能に影響したり、瘢痕が残ることがあります。また、霰粒腫のようにみえても、脂腺癌など別の病気のことがあるので、手術が必要である可能性を常に念頭におく必要があることを先生方のお話で再認識いたしました。

 

小幡先生が、「麦粒腫と霰粒腫の鑑別は、30年眼科医をやっても難しい」、野田先生が、「霰粒腫という疾患の奥の深さを再認識しました」とおっしゃっていました。あついあつい想いを持った先生方との教育セミナーで、霰粒腫について、さらに深く学ぶことができました。

 

一度、霰粒腫になってしまうと、その部分のマイボーム腺は脱落したり短縮したり、破壊されてしまって、復活しません。涙のあぶらを分泌する大切なマイボーム腺が失われてしまうと、涙液の蒸発が亢進してしまいます。LIME研究会としては、霰粒腫ができやすい方には、予防のために、温罨法・リッドハイジーンをおすすめします。

       左から小幡先生(埼玉医大)、有田先生、

       野田先生(慶応大)、福岡、水戸先生(井出眼科病院)