めいぼグラフィ 実践編 その2
86歳の男性。5年ぐらい前から「瞼が変じゃった」と自覚はあったものの,膀胱癌に対する治療目的で入院のところ,ついでに眼科も受診。
パッと見,非常に厳しい様子を呈する病変でした。自壊しているし,隆々としているし…
有田先生が紹介された,脂腺癌での観察を参考にマイボペンで観察してみました。
これまで観察した霰粒腫は,肉芽腫形成部位が暗くなっていましたが,脂腺癌では白っぽくなるとのことでした。実際にこの症例でも正常なマイボーム腺の構造は見られず,白っぽい構造が眼瞼の中央を越えて鼻側まで進展していました。後日病変から生検を行い,脂腺癌という確定診断を得ました。膀胱癌に対しても放射線治療と化学療法を行うとのこと でしたので,眼瞼も放射線治療を行うことにしました。
腫瘍はかなりきれいになりましたが,眼瞼内には白色病変が観察されるため,慎重に経過観察することになります。
マイボーム腺に関連するすべての疾患に,この観察系は手軽に応用できて,多くの情報を得ることができると思います。